Thursday, March 5, 2015

オオモリ歯科

歯はわりと丈夫なので、保険でカバーされる6ヶ月に1回の検診とクリーニングの時にしか歯医者には行かないけれど、この6ヶ月に一度の来院をワタシはけっこう楽しみにしている。お世話になっているドクター・オオモリは、この地区に日系人が多く住んでいた20世紀半ば頃にお父さんが始めた歯科医院を継いで経営している日系3世の歯医者さん。日本語は全く話さないけれど、日系人の文化を継承しているので、会話の端々に日本の礼儀や家族の慣習、食べ物のことなどが、純粋な日本文化からちょこっと変形した形で登場して、とっても面白い。日本人であるワタシが何を面白いと思い何には驚かないかということを、知っていて喋っている時もあれば気が付いていない時もあり、いつも日本人と日系人のアイデンティティを較べては明るく笑い飛ばす。手を動かしているより口を動かしている時間のほうが圧倒的に長いので、30分ですむところの検診とクリーニングがいつも1時間半から2時間かかっちゃうのだけれど、その間、口を大〜きく開けさせられたまま笑いっぱなし。返事が出来ないのはもどかしいけれど、いろいろな話が聞けて本当に楽しいお医者さんなのだ。お父さんの時代からたぶん50年くらい変わっていないと思われる、古いけれど清潔に保たれたレトロな待合室に座っていると、日系人がたくさん集まっていた1950〜60年代にワープしたような感覚におそわれ、当時の風景を想像しながらいつまでも座っていたくなる。入り口のガラス扉にひらがなの縦書きで書かれた「おはいり」という文字も、見る度に笑ってしまう日系人用語なのだ。


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