Wednesday, March 27, 2013

泥棒ワークショップ

地元の警察による、空き巣や押し入り強盗の被害を防ぐためのワークショップに参加した。春になると街が元気になるのと同時に、犯罪も増える。被害者にならないためにはどんな予防ができるのかを話し合う、パネルディスカッションなのだ。ステージに座る6人のパネリストは、なんと全員が服役中のプロの泥棒たち! 名前や年齢に加えて、主な活動地域、逮捕歴や服役年数、どのようにして捕まったなどの自己紹介。そしてこの人たちが、どんな家なら狙いやすいか、家に入ったらまずどの部屋から物色するのか、どの時間帯が一番成功するか、1件に費やす時間は平均してどれくらいか、越えやすいフェンスの形や開けやすいカギの種類、家の中に人がいないこととかしばらくは帰って来ないってことをどうやって知るのかなど、具体的な例を挙げながら実に詳しく教えてくれるのだ。いやぁ、勉強になった〜! いかに普段自分たちが油断しているかを思い知らされた。この泥棒たち、見かけやしゃべり方はどうしてもチンピラっぽいけど、ワークショップの趣旨はちゃんと理解してるし、簡潔で的を得た応答、笑いを取るユーモアのセンスもある。普段あんまり接点のない種類の人たちなので、っていうかあんまり会いたくもないけれど、話してみると意外にフレンドリーだし面白いのだ。そしてこの犯罪人たちに向かって、最後にはサンキューとか言ってしまっている自分、なんかヘンだぞ。

立ってる人はワークショップをリードする警察の人。
座ってる6人が、有用な泥棒対策を指南してくれる犯罪人パネリスト。

Monday, March 25, 2013

Take a Penny, Leave a Penny

アメリカってとこは何でも大雑把で、やれやれ、と思うことが多いのだが、たまにそんなところにとっても好感が持てる時もある。そんなことのひとつがこのシステム、Take a Penny, Leave a Penny。個人経営のお店やレストランなどでよく見かける、レジ横に置かれた小さな箱とかバスケット。ここに、お釣りで出たペニー(1セントのコイン、いわゆる1円玉みたいなものですな)を、あんまり気にかけない人はじゃらっと置いてっちゃうのだ。そして、あとから来た人が支払いをする時に、もしちよっとだけ足りない端数があったりしたら、そこから1セントとか3セントとかを貰って、支払いの辻褄を合わせる。そんな、見ず知らずの人たちの間で交わされる、ギブ・アンド・テイクのシステムだ。わたしの場合、端数を合わせてお金を払うという日本的な習慣をいまだにキープしていて、小銭は持っているとけっこう重宝するからあんまりギブしたことはないんだけれど、テイクさせて貰ったことは何度もあります。はは。レジで小銭入れの中をごそごそ探っていると、明るくておしゃべりなレジのおばさんやおじさんが、ほれっ、て箱から小銭を摑んで、金額を合わせてくれっちゃうってことも多いのだ。大規模なスーパーマーケットやチェーンのお店ではあまり見ることのない光景なので、どちらかというと古き良きアメリカ的な習慣なのかも。隣人は基本的に善人、という前提で信頼関係が保たれているおおらかさが、なんとも微笑ましいステキな「大雑把」。ただ、カフェなんかでレジの横に置いてあるビンなどの中の小銭が、バリスタさんへの「チップ」という意味の時もあるから、そういう場合はそこから小銭を取ったら泥棒になっちゃうので、要注意。

Bennison’s Bakery

Bennison’sは、1938年創業のベーカリー。60〜70’s風ネオン管のサインがエバンストンのダウンタウンにひと際目立つ、ノスタルジックな外観のお店だ。外観同様60〜70年代から変わってないんじゃないかと思う、古いけれど清潔な店内は、焼き立てのパンやケーキの甘い香りに満たされ、元気でフレンドリーな店員さんや職人さんがたくさん働いている。お客さんもひっきりなし。キッチンには、ケーキのデコレーション用の装飾素材や道具が所狭しと並べられ、アーティスティックな職人技が表通りからガラス越しに覗けるようになっている。前を通るたびに足を止めて覗き込んでしまうのだけれど、目が合った職人さんはいつもにっこり微笑みを返してくれる、そんなお店なのだ。今日は夕方からの友人のバースデー・パーティーに持っていくケーキをオーダー。大きさを決め、スポンジの種類(カスタードかチョコレート)とクリームの種類(バニラかチョコレート)、ケーキの上面を飾るデコレーション(フラワーかバルーン)を選び、書いてもらう文字を指定して、あとは出来上がりを待って夕方取りに来る。カラフルで甘い甘いアメリカ〜ンなケーキだけれど、人気のローカルショップで、たまにはこういうのもいいでしょ。中のスポンジケーキはしっとりしていて、なかなか美味しいよ。

ノスタルジックなネオン管のサインがエバンストンの街角にそびえる
素朴で不器用な感じもするけれど、カラフルでアメリカンなケーキたち
その上に焼きたてのパンが並ぶショーケース
職人技を舗道から窓越しに観察
本日のバースデーケーキ、出来上がり!

Saturday, March 23, 2013

Earth Hour

3月の第4土曜日は恒例Earth Hour。2007年、オーストラリア・シドニーで220万人が参加して始まった、World Wildlife Fundの地球温暖化防止キャンペーンの一環であるこのイベント、今では世界の7000を超える市町村が参加する国際規模に発展した。世界中の人々が、同じ日の午後8時30分から9時30分まで、電気を消すというアクションを通じて、地球温暖化のスピードを緩め、地球の環境を守ろう、という思いを示す。さまざまな国の現地時間に合わせて、消灯が東から順にぐるっと地球を1周するという、とってもステキなイベントなのだ。地球の温暖化問題は、電力消費を減らすだけで回避されるような単純なものではないということは、誰でももちろん知ってはいるけれど、それでもこの1時間、世界の人たちと気持をひとつにして、さまざまな災害の被災地に想いを馳せるいい機会になるんじゃないかな。たまには部屋の電気を消してロウソクの下で時を過ごすというのも、なかなかロマンチックなものですよ。

シカゴのパーマーハウス・ヒルトンでは、その歴史ある重厚なロビーを消灯し、1200本のキャンドルの明かりでジャズコンサート。参加者には蛍光色のネックレスと暗闇で光る氷を浮かべたカクテルが振る舞われたそうだ。ロビー・バーではこの日の売り上げの50%がWWFに寄付されるそう。

Photo by Alex V. Hernandez (pilfered from Torch)

わたくしは、例によってキャンドル・ライト・ヨガでEarth Hourを過ごした。表通りの喧噪がウソのような、心落ち着くひとときでした!

Friday, March 22, 2013

ハッピー・フライデー、ハッピー・アワー!

やっと週末だー、ということで仕事の帰りに立ち寄ったWhole Foods Marketで、5時から7時までのハッピー・アワー・イベントに遭遇。20以上のワイナリーや地ビールメーカーが店内各所に試飲テーブルを出し、Whole Foodsのケータリング部門がおつまみを提供、ライブ・ミュージックもあり。入り口で5ドルの募金をすると手渡されるワイングラスを片手に店内を歩くと、随所に設けられた特設テーブルでメーカーの人たちがグラスにちょこちょこビールとかワインとかをついでくれる。お買い物ついでに酔っ払っちゃうイベントなのだ。集まった募金は、Whole Foodsが運営するWhole Planet Foundationという非営利団体を通して、世界から貧困を撲滅する活動に寄付される。長い長い1週間の終わりに、慈善活動への協力とちょっとのお酒が、ほどよくいいキモチにさせてくれるナイスなイベント。でもほろ酔いになっちゃって、これじゃぁ家に帰ってごはんの支度はできなくなっちゃったな〜〜

入り口で5ドルの寄付をすると渡されるグラスは
ちゃんとした本物のワイングラス。
くれるわけじゃないの、お店を出る時には返すのだ。エコです、グッド!
買い物かご片手に飲む
Whole Foodsケータリングによるカナッペやサンドイッチがおつまみに
試飲させながらワインの説明をするワイナリーのお兄さん。
慈善活動への協力とはいえ、いい宣伝になるよね
酔っ払ったらごはんの支度できないじゃ〜ん、
と言いながらもやっぱりもらってしまうのだ。
これは、Great Lakesという地ビール

Wednesday, March 20, 2013

春分の日

3月20日、春分の日(March equinox) 春の最初の日にあたるわけだけれど、シカゴは最高気温マイナス5℃、最低気温マイナス10℃。東海岸は今週はじめから雪模様だし、シカゴは明日もあさっても週末まではずっと氷点下。アイオワあたりも雪が降るらしい。どーーーーなってるの! 2月はじめののグラウンドホグ・デーに、あと6週間以内には春が来ると予測した人は誰だったかな!? ペテンのかどで、手配されてます ↓ 捕まれば来年のグラウンドホグ・デーまで、檻に入れられるらしいよ。それにしても、あぁ寒い!

Monday, March 18, 2013

Bonoのスピーチ

この1週間ずっとセント・パトリックス・デーにまつわる話を書いてきたけれど、血の気の濃いアイリッシュ週間の締めくくりに、友人に紹介してもらったこのビデオをシェアしておこう。アイルランド出身の世界的ロックスター、Bonoさんのスピーチ@TED。人道的活動の提唱にも力を注ぐこの人が、パワフルな、ホントにパワフルなデータを示し、今日のテクノロジーとソーシャル・メディアの驚異的な広がりを利用して、自分たち市民の力で世界から貧困を撲滅しようというメッセージ。素晴らしいスピーチです。

Extreme poverty declined from 43% in 1990 to 33% in 2000 to 21% by 2010, and the facts show that we can get it to virtually zero within a generation — but only if we act.
世界の究極の貧困は、1990年から2000年で43%から33%に、2000年から2010年では21%にまで減少した。この事実は、次の世代で我々が貧困をゼロにできるという仮想現実を示す。ただし我々が行動すれば、ということだ。

We are going to win if we work together as one, because the power of the people is so much stronger than the people in power.
もし一丸となって戦えば、私たちは勝つ。なぜなら人々の力は、権力の座にある人々そのものよりも、はるかに強力なものであるから。

Saturday, March 16, 2013

パブ・ホッピング

アイリッシュ・パブが軒を連ねる我が家の周辺も、金曜の夜くらいから徐々にポリスカーが集まってきて、酔っ払いによる喧嘩やトラブルに対処する態勢を整えた。町内会からも「責任ある大人の行動のもとに楽しく飲みましょうね」というEメールが今週は繰り返し送られて来た。しかし、凄い。毎年のことながら、午前中からパブをめぐり歩く人々。お店入りきらない緑の酔っ払いたちは車道に溢れて席を待つ。どさくさに紛れてメキシカン・レストランでも店頭を緑色に飾り、おこぼれをもらおうとしている。とにかく飲む、飲む。街中が飲み会だ。恐ろしいのでアイリッシュ・ジャパニーズはおとなしくおウチにいます。いつ酔っ払いが飛び出してくるかもわからないので、今日は車でも出かけないようにしよう。

パレード

名物シカゴ川の緑色を見に行ったついでに、ダウンタウンで行われたセント・パトリックス・デーのパレードも見て来た。パレードは、グラントパークからミレニアムパークにかかるコロンバス・ドライブをほんの数ブロック歩くだけで、規模的には小さいものなんだけれど、何しろこちらもすごい人出。地元の人だけではなくえらく遠くから歩きに来る人もいるらしいし、それをわざわざ遠くから見に来る人もいる。このパレードならではのバグパイプのマーチングバンドは、なかなかに見応えありだけれど、あとは、地元の高校生だとか文化交流グループだとかが旗を持ってとことこ歩くだけ。あぁそれと、どんなパレードにも出て来る市長とか、マイニョリティを支持してますよってことをアピールしたい政治家たち。わたしは寒くて身体もガタガタ震え出し、パレードどころじゃなくなってきちゃった。それでも血の濃いアイリッシュ系の人たちは朝からお酒入って、全然へっちゃらみたい。にわかアイリッシュ・ジャパニーズには、ついていけませ〜ん!

バグパイプのマーチング・バンド。圧巻。
地元のグループ。犬まで緑に染めちゃってるし。
もひとつ、別のマーチング・バンド。
最初に出て来たグループよりやや小さめ。

緑のシカゴ川

セント・パット・デーの、もう50年も続いているというシカゴならではのトラディションは、アイリッシュ・グリーンに染まるシカゴ川。もともとは未処理の下水がどこから川に漏れ出ているかを調べるために使った染料が、偶発的にこの鮮やかなグリーンを作り出したことが始まりだそうで、この全国的に有名なシカゴならではの伝統行事は、今でも地元の配管業組合が主催している。当初の化学染料は今では使われなくなり、環境に優しい植物性染料を、川を4〜5時間だけ緑に保つに充分な最小限の量だけ撒くのだそう。見てるとモーターボートから撒かれる染料は最初は黄色なのだけれど、それが水に混ざると鮮やかな緑に変わる。それをサーカスに出てるみたいな人が、高圧水撒き機のようなものでアクロバット的にかき回して、川の色を均一にする。他の都市も、このシカゴ川の行事を真似たいと申し出るらしいのだけれど、シカゴの配管業組合は染料の調合のヒミツを明かさないので、まだどこもこの完璧なアイリッシュ・グリーンを再現することには成功していないんだって。

気温0℃、みぞれ混じりの凍えるお天気にも関わらず、朝の10時に始まった染色ショーには何千もの観客。わざわざこれを見るために遠くから来る人もいるらしいよ。ワタシの隣にいた人、アリゾナから来たって言ってた(!) シカゴ出身のファースト・レディ、ミシェル・オバマは、これをワシントンに持ち込んで、ホワイトハウスの噴水も緑に染まるそう。

シカゴ・ダウンタウンのど真ん中を横切るシカゴ川
手前のモーターボートが染料を撒き、後ろのサーカスの人が掻き回す
高圧の噴水機で宙に浮いてるサーカスの人。
よく見ると、アイルランド民話の小人の衣裳で水を掻き回している。
寒いのに笑顔で、大変な仕事だ〜

Friday, March 15, 2013

アイリッシュ・ハープ

ふと立ち寄った近所のカフェJulius Meinlで、ステキなハープの生演奏に出会った。オーケストラで見るような通常のグランド・ハープよりひとまわり小さいアイリッシュ・ハープ。アイルランドの国章にも描かれ、古代ケルトの時代にも吟遊詩人がこの楽器を抱えて歌っていたそうで、イギリスからの厳しい支配と搾取や、飢饉によるアメリカへの大量移民、英語が話せずに社会の底辺に置かれた過酷な日々など、複雑な歴史をくぐり抜けて生きた民族の伝統の音色が、今ではこのアメリカの小さなカフェで人々の心を和ませているんだなぁ思うと、 テイクアウトするつもりがつい座り込んで聴き入ってしまった。


 繊細で優しく、心地よい響きであるとともに、アップテンポなリズムとシンプルでメジャーなコード進行は、ダンスにもピッタリきそう。さすがに夕方のカフェで踊っている人はいないけれど、これが夜もふけた満員のパブならば、ギターやバイオリン、アコーディオンなども加わって、賑やかな歌声と、アイリッシュのステップ・ダンスで盛り上がりそう….

と、ここまで書いて思い出したのだけれど、そういえば大量のアイリッシュ労働移民が乗船していた「タイタニック」 映画の中にも、そんな愉快な酒場シーンがあったような気がして、探してみたらありました、こちら↓  貧しい労働者階級の青年ジャックに惹かれて船底の酒場に足を踏み入れてしまう上流階級のローズが、ハメを外してジャックと踊り、ギネス(だと思う)をぐびぐび飲むシーン。音楽はフィドルとバグパイプでこの場合ハープは入っていないけれど、そうそう、こんな感じのリズムと旋律をハープの音色で繊細にしたら、まさに今日の演奏みたいになる。それにしても、16年も前の映画になっちゃうんだね。レオもケイトも若かった!

Wednesday, March 13, 2013

コーンド・ビーフ

自称アイリッシュ・ジャパニーズとなる今週は、セント・パット・デーならではの料理、コーンド・ビーフを作る。コーンド・ビーフはアイルランドの伝統料理で、とってもしょっぱい塩漬けビーフをキャベツなどの野菜と一緒に煮込んだもの。海賊や船乗りが食べるってイメージの、豪快な肉料理だ。アイルランドが貧しかった時代には、たいへんなごちそうだったと思われる。毎年この時期になるとシカゴでは、塩、こしょう、果実酢などで調合したピクル液に漬け込んでパックされた塊り肉が、キャベツと並んでスーパーの棚に並ぶ。今年はコレをトレジョでゲット。お肉はお安いラウンド・ビーフで、1.2キロが約15ドル。作り方はいたって簡単で、パックを開いて中味をじょぼっと鍋に空けたら、水を足してコトコト煮るだけ。やわらかーく煮えて来たらあとはキャベツやタマネギ、ポテトなどを加えるだけなのだ。シンプル。ナイフもいらない、さわっただけでぽろっと崩れるほどに柔らかく煮えたお肉は、素朴でなんとも心温まる。スープが沁みたお野菜もとっても美味。でも、お肉はやっぱりしょっぱ〜い! まぁ、もともとはハムやベーコン同様、寒い地域の保存食なわけだから、しょっぱいのは当たり前。血気盛んなアイルランド気質を作った伝統料理、1年に一度は試してみたいのだ。

ところで、だいぶイメージは違うけれど、いわゆる缶詰に入ったコンビーフも基本はこれと同じ。アイルランドでは高価で贅沢だった牛肉も、アメリカやオーストラリアではふんだんに手に入るので、やったー!とばかりに、缶詰にもなるほどポピュラーになっていったんだそうだ。

Tuesday, March 12, 2013

緑のシェイク

アイルランド系の特長として、姓(ファミリー・ネーム)のスペルが「O’」とか「Mc」で始まるって事がある。つまり「Mc」で始まるMcDonaldはアイルランド系の名前なのである。今や世界的な企業なので、そんなことが関係しているのかどうかは疑わしいけれど、年に1度この時期になると、マクドナルドでは緑のシェイクが登場する。シャムロック・シェイク。このシカゴ発のアメリカン・セント・パトリックス・デー・ドリンクは、3月17日までの限定販売。1年に1度のこのシェイクを、楽しみに待っているファンも多いらしい。これがスタバなら抹茶を使うんだろうけど、ここはマクドナルド。緑はミント・フレーバーで、色もそうならお味もけっこうケミカルなのだ。そしてラージを頼むと820キロカロリー (!) となるので、そのヘンもご用心です。

緑の街

3月になると、街の中に緑色が増える。3月17日はアイルランドにキリスト教を広めたセント・パトリックの命日。カトリックのお祭りで、アイルランドの祝日のセント・パトリックス・デー。アイルランドが貧しかった時代、遠くアメリカやオーストラリアなどに移り住むことを余儀なくされたアイルランド人が、故郷を思ってお祝いする日でもあり、宗教的な意味合いよりも、アイルランド人としてのアイデンティティと誇りを維持するために続いてきた伝統のお祭りだそうだ。多くの人が先祖にアイルランド移民を持つアメリカの主要都市では、キリスト教三位一体を表すアイルランドの国花シャムロック(クローバーの葉)の緑色を身につけて、ミサに行き(ホントに行ってるのは敬虔な人だけだと思うけど)、巨大なパレードが行われ、飲めや歌えやの大騒ぎはおそらく本国よりも盛り上がる。シカゴにもアイルランドの国旗を掲げたアイリッシュ・パブがたくさんあり、世代を重ね混血も進んで、今ではすっかりアメリカ人となったアイルランド系移民の子孫たちや、それとは全く関係ないけど便乗しちゃう人たちが、血気盛んで大酒飲みなアイリッシュ気質を継承しているというわけだ。今度の週末の盛大なお祭り(飲み会)に向け、シカゴの街角は緑色に染まりゆく。

ウチの近所のブロックだけでも数十件あるアイリッシュ・パブ。
セント・パット・デーに向けて準備着々。
緑に染まる商店街のショーウィンドー

Monday, March 11, 2013

デイライト・セービング・タイム – その2

デイライト・セービング・タイムが始まって最初の月曜日。いつもと同じ時間に起きたらまだ外が真っ暗なので、ふと考えた。デイライト・セービング・タイムが終わったのは11月の最初の週だったから、デイライトをセーブしない、正午に太陽が真上に来る正式な時間って、結局1年のうち4ヶ月しかないのよね。あとの8ヶ月は人為的に1時間ずらした夏時間。冬と夏なんだから半々じゃなくていいのかなぁ。まぁ、こんなに酷い天気のシカゴだから、夏時間が長いほうが精神的には救われるのだろうけれど、でもなんか自然のルールに逆らってズルしてるみたいな期間のほうが長いっていうのはねぇ、いいんですかねぇ。だってまだ外暗いのよ、3月の朝は! っていうか、暗いうちから起こされてちょっと納得いかない、寝起きの悪い女のたわ事だわな。グダグダ言ってないでさっさと起きれいっ!

Sunday, March 10, 2013

デイライト・セービング・タイム – その1

本日未明、デイライト・セービング・タイムが始まった。ちょっと夜更かししてて2時のつもりで時計を見たら3時になっててビックリ。今時は、携帯電話もコンピュータも全部自動で変わってくれる。オーナーよりずっと賢いのだ。今日のシカゴ地方は気温は上がったものの1日中土砂降り。せっかくの夏時間も暗いグレイの空に覆われてしまったけれど、日が長くなるのはホントに嬉しい。省エネ目的とはいえ、キモチもヤル気も明るくしてくれるデイライト・セービング・タイム。アメリカにしてはとっても気が利く、グレイト・インベンションなのだ。

Saturday, March 9, 2013

OZ

大好きな「オズの魔法使い」の前日譚とあれば見逃せないでしょ。「Oz The Great and Powerful」 ミュージカルになった「Wicked」同様、オズの国にドロシーがやって来る以前の物語。「オズの魔法使い」の中で大魔法使いと謳われながら、実は魔術なんか使えないただの気のいいおじさんのオズが、どうやってオズの国にやって来て、いかにハッタリを繰り返しながらGreat and Powerfulなウィザードとなったのか、というお話だ。この若き日のオズを演じるのはジェイムス・フランコ。旅のお供は背中に翼のあるサルのフィンリーと、オズに折れた足を治してもらう陶器でできた少女。後日ドロシーと共に旅をする事になる案山子の原形や、ライオンがなぜあんな臆病になってしまったのかと言うエピソードも織り込まれているし、イエロー・ブリック・ロードやエメラルド・シティ、マンチキンの市民たちもちゃんと存在し、「オズの...」が好きな人だったらどんどん入っていけるストーリー。物語の性質上、ふたりの悪い魔女には、変わり果てた姿の最後が待ち受けているわけだけれど、壮絶な戦いを経ても誰も殺されないってところは、今の時代の暴力への警鐘を反映していてよかったと思うのだ(いいぞ、ディズニー!)そして何しろコンピュータ・グラフィクスが圧巻。旅の途中の風景の数々も素晴らしいし、陶器の少女の表情と声も凄くいい。これだけは1939年の映画では味わえないので、ぜひとも大画面の3Dで楽しみたい。この作品にしろ「Wicked」にしろ、元にあるお話では脇役のキャラクターの人生が、別のお話として描かれたり、そこからさらに新たな物語が生まれたりというのは、基本となる「オズの魔法使い」がいかによく出来たお話で、いかに人々に愛されているかということ。というわけで「オズの魔法使い」も久しぶりにまた観たくなっちゃった。時代を経てますます深く楽しくなるOZの世界なのである。

Friday, March 8, 2013

国際女性デー

3月8日は、国際女性デー、International Women's Day。アメリカでは特に祝日にはなっていないけれど、1904年3月8日にニューヨークで、女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こしたことに由来して、国連がこの日を女性の日と定めたのだそう。現在は、女性の平等な社会参加の環境の整備を、世界に呼びかける日とされている。

そんなわけで、ワタクシもちょっと国際女性ネタ。The EconomistによるGlass-ceiling index。


Glass-ceiling(ガラスの天井)とは、マイニョリティや女性が能力や成果とは関係なく、企業内で昇進を阻む見えない天井のことで、↑ これは、高等教育における男女の人口差、女性の労働参加率、給与額の男女差、管理職への女性起用率、所得に対するチャイルドケアのコスト比率を基準に、各国の女性の働きやすさを比較したチャート。さすがは福祉の国々、ニュージーランドや北欧がトップを連ね、アメリカは少し遅れをとっている。で、日本はというと、まだまだ社会の努力が必要みたい。格段に遅れをとっているのは韓国だけれど、韓国では初の女性大統領といううれしいニュースがあったばかり。環境の整備はもちろん必要だけれど、ワタシたち日本女性もがんばりましょうね!

Thursday, March 7, 2013

経費削減

2月28日が期限だったアメリカ財政の債務上限の引き上げが、ねじれになってる上院議会で野党共和党との話し合いがつかず、5月に先送りとなった。そんなわけで、Sequestrationと呼ばれる強制歳出削減が発動となっている。株高に湧いているアメリカの市場は、これをそれほど深刻には受けとめていないようだけれど、強制歳出削減っていうのは、ムダ使いを分析して、まずどこから歳出を減らしていくべきかを考える通常の緊縮財政とは違って、すべての分野において一律の割合で予算を削減するってことなので、治安や教育などちゃんとお金をかけなきゃいけない分野にも一律に影響が出てしまい、全体から見るとかなり深刻なことなのだ。

なんて、急に財政の話などを持ち出したりして、ワタシのこのシカゴ・ブログのカラーを変えようとしているわけではないのです。何を言いたかったかというと、空港のセキュリティが、この強制歳出削減による新規雇用の一時的凍結と残業の削減で、手薄になっちゃうそうなんだ。そしてTSAは職員の仕事軽減のために、これまで禁止していた小型ナイフなど、刃渡り6センチ幅1.3センチ以下のものに限り、飛行機に持ち込むことを許可するんだって。ゴルフクラブやホッケーのスティックなどもオッケーになる。えぇーー、ホント!? お水のボトルは依然として持って入れないのに!!?? その分、爆発物や銃など、より危険な凶器の発見に集中することが出来るって、TSAは説明しているそうだけれどね。楽観主義月間としては、仕事少しラクになってよかったねって言ってあげたいところだけれど、いくら経費削減でも乗客や乗務員の安全を脅かすような決定はいただけませんよね〜。

加えて、人員不足でセキュリティ・チェックや出入国審査に今まで以上に時間がかかることや、スケジュールの遅れやキャンセルが今まで以上に予想されることから、空でお出かけのみなさまは、フライト・スケジュールの確認を忘れずに、時間に充分過ぎるほどの余裕を持って空港にお出かけください、とのことだ。ますます大変になるエア・トラベル。オバマ大統領の言う「中間層への影響」ってこういうことでもあるんだね。

Tuesday, March 5, 2013

楽観主義月間

誰が決めたのかは知らないが、3月は「ナショナル・オプティミズム・マンス」なんだそうだ。 後ろ向きな考えは捨て、文句を言うのはやめて、今月はキモチと態度をポジティブにシフトしよう、ということらしい。

なぜ3月か。

2月を乗り越え、ちょうどウインター・ブルーが限界を迎える時期にあたり、キモチの切り替えが必要なこと。春分の日が来たり、デイライト・セイビング・タイムが始まったりで、日も長くなり、仕事のあとで散歩に出たり遊びに行ったりというような気分にもなること。そして何と言っても花や木々の芽がゆるみ、渡り鳥たちも方角を変える、Rebirth(生まれ変わり)の季節だから、なのだ。

“A pessimist sees the difficulty in every opportunity; an optimist sees the opportunity in every difficulty”.(悲観主義は何かの機会が訪れるたびに、その中に難しさを見る。楽観主義者は何か難しいことが起こるたびに、その中に好機を見る)ー ウィンストン・チャーチル

楽観主義、春、楽観主義、春.....とアタマの中で繰り返しながら、新雪をブーツで踏みしめて歩く。今シーズンはもう何度目になるかな、シカゴは大雪警報の真っ最中なのだ。あぁ、春まだ遠し....  おっといけない、ポジティブだった、笑わなくっちゃ、笑・わ・な・く・っ・ち・ゃ! 

再び雪に埋もれた我が家の前の通りです

Saturday, March 2, 2013

Hot Cocoa Flight

最近ウチの近所にできたWafflesというカフェで、Hot Cocoa Flight なる飲み物を試してみた。3種類のフレーバーのココアがエスプレッソ・サイズのカップに並んで登場。↓ 左からキャラメル、ダークチョコレート、ペパーミント。いわゆるサンプラーです。大味の単品料理が、何でも大量にドサッと来るのがアメリカ料理だったけれど、最近はミニプレートとかこういうサンプラーというような、小さいポーションを少しずつ可愛く飾って出す、みたいな料理も流行っていて、アメリカ料理もずいぶん変わって来たなぁと思う今日この頃。でもさ、ウエイターさん運んで来る時に揺らすからぁ、ソーサーにココアがたっぷりこぼれちゃってるじゃない! せっかく可愛く盛ってもこれじゃぁね。こういう大雑把さはやっぱりアメリカ、一朝一夕では変わりませんのね(苦笑)

3月

3月に入りました。ということで、このブログも3年目に入ります。総ヒット数も8000を超えました。繰り返し読みに来てくださるみなさん、ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いしますね。

そんなわけで、巷も3月。春の気分は高まるばかりで、地元ターゲットの季節モノ売り場でも、デッキ家具やバーベキューグリルの展示が始まった。しかしなぁ、見てよ、このまだ誰も見向きもしないおざなりなディスプレイと、天井から下がったチープな太陽 ↓ 気持ちはわかるんだけどさ、なにか悲しげなシカゴの3月。このブログを始めた2年前の3月も、ワタシの中では冬の憂鬱が限界に達し、何か新しいことを始めたい、そんな気持ちからだったんだろう。なんてったって、まだ外は、氷点下8℃ですから….