Saturday, January 19, 2013

戸栗商店

ベルモントにある日系の雑貨店J. Toguri Mercantile(戸栗商店)が閉店するという。1943年創業というから、この土地で70年。今でこそヤッピーで溢れる活気のあるこの一角が日本人街だったのは20世紀の半ば頃で、創業者の戸栗遵(じゅん)さんはシカゴ日系人会の初代会長だった。シカゴの日系人社会の歴史や、東京ローズと呼ばれた二代目アイバ戸栗さんの辿ったお気の毒な人生の事などに触れると、とてもスペースも時間も足りないのでここでは書かないけれど、この店の前を通るといつも、日本人コミュニティの中心としてさぞかし賑わっていたであろう頃の様子を想像してしまう。

広い間口と年代を感じさせる建物。古びたショーケースや商品棚には掛け軸や陶器が無造作に並べられ、日本の雑貨小物、本や雑誌、文房具、ゆかたやきもの、茶道や華道や書道の道具、柔道や剣道の胴着、少しだけれど食料品もある。溢れる品物が雑然と山積みで、わたしなどは食料品を買うのはちょっと勇気が....という感じもある。それでも田舎の村に一軒の 「何でもあり」の雑貨屋さんの趣もあり、それはそれで郷愁をそそると言ってもいいかもしれない。

今では日本人街だった頃の面影などまったく残すことのない、この人通りの多い駅前の賑やかな場所は、大きいビジネスが新たな商機を狙う格好のロケーション。特徴のあるローカルのお店がまたひとつその歴史を閉じた後には、GAPとか大型ファーストフード・チェーンのお店とかになってしまうのかなぁ。ちょっとさみしい。

そうそう、閉店はひと月後で、それまで全品40~50%引きの一掃セールだそうですよ。でも今日のぞいてみたら、めぼしいモノはもうほとんど残っていなかったけれどね。

No comments:

Post a Comment