「Woman In Gold」という素晴らしい映画を観た。第2次世界大戦中にお金持ちのユダヤ人家族からナチスが接収した肖像画「アデーレ・ブロッホ・バウアーⅠ」の返還裁判を、オーストリア政府に対して起こした老女とその弁護士の奮闘を描く、実話に基づいたお話。主人公は、肖像画のモデルのアデーレとその夫で絵画の元々の所有者ブロッホ・バウアーの姪で、戦時中にアメリカに亡命したユダヤ系アメリカ人、マリア・アルトマン。そしてマリアと共にオーストリアを訪ね、自分の祖父母たちがたどった道のりを自身のルーツと重ねていくうちに、このケースは自分にとっても大切なケースであることに気付いていく、やはりユダヤ系のマリアの友人の息子の若い弁護士。物語は絵画を巡る裁判への困難な道のりの間に、第二次世界大戦時のマリアとその家族の様子をうまくフラッシュバックさせながら進んでいく。マリアを演じるヘレン・ミレンのすばらしさと、ウィーンの街の美しさ、そして60年以上も前に起きたホロコーストの残した残酷な傷が心に響く。
リンカーンパーク・ズーはパブリックアートにも力を入れている。今シーズンは、シカゴのローカル・アーティスト15人の「ネイチャー」をテーマにした作品を園内の各所に配し、「Nature in Motion」と題した1時間の無料ガイドツアーを行っている。作品の数々も決して一流の美術館にひけをとらない面白さ。そして動物園だというのに、彫刻の詳しい説明をして、参加者からの質問にまで対応できるスタッフがいるってところがまたスゴい。動物園に来て彫刻ツアーはないだろうという人もいるかもしれないけれど、そこがこの入場無料の公共公園のいいところ。ワタシのように近所に住むものは、サルにだけ会いに来る日もあれば、ジョギングの途中でふらっと園内に入ることもできる。彫刻を見ながら歩いていたらライオンと目が合っちゃうなんていう、愉快な散歩もありというわけだ。