Tuesday, April 26, 2016

アイルランドまとめ

ワタシの知っていたアイルランドは、セント・パトリックス・デーのバカ騒ぎと緑の川.... ちょっと常識では考えられないようなハメの外し方を何だか憎めないと思っていた。今回の短い旅で学んだのは、こんなステキな国を出てアメリカくんだりまで移民しなければならなかった先代の人々の辛酸と、そんな逆境も大酒飲んで明るく乗り越えてきたアイリッシュ気質。これからはシカゴでも、オレンジと緑の旗のかかった店の前を通るたびに、ふふっと微笑んじゃいそうだ。ギネスにも少し特別な思い入れができた。思えばアイルランドという国は、たとえばグランドキャニオンとかナイアガラの滝みたいに、直接的な感嘆や驚愕は要求しないけれど、ちょっと目立たなくてシャイだけれどいったん話し始めるととっても面白いおじさんみたいな、むしろ癒しとか鎮静に近いそんな優しさがある。また機会があれば会いに行きたい。

毎年3月17日のセント・パトリックス・デーが来る度に
今回の旅を思い出すでしょう。ありがとう、アイルランド!


Monday, April 25, 2016

海辺の小さな村々

ケリー周遊路から脇道に入り、アイベラ半島突端のさらに海に近い場所を1周するSkellig Ring。草を食むヒツジが群れる牧歌的風景と、何者をも受け付けないように見える石と岩の荒涼とした低地が繰り返される。そんな風景の中にポツンポツンと現れるか わいい村々。はっきりしないグレーの空模様に、ピンクや青や黄色のストアフロントが鮮やかに映える。こんな色にでもしないと気が滅入っちゃうのかなぁ。どの家も前庭を綺麗に飾り、街にはゴミひとつ落ちていない。すれ違う人たちはみんな笑顔でフレンドリーだけれど、厳しい気候の中で、都会人の暮らしからは想像もつかない毎日があるのだろうか。

Skellig Michaelへのツアーボートが出る街Portmagee。
港に面してカラフルな建物が並ぶ
ピンクの壁と青いドア
キッチュな色合いのバー
ここまで来たらもうけっこう見慣れた風景になってしまった
丘の中腹の石垣に囲まれた小さな石の家
最果ての街は、お天気が変わりやすい
チャーリー・チャップリンが愛し、毎夏を過ごしたという
ウォーターヴィルという街
チャップリンが滞在していたというホテル
これ以上ありえないくらいシンプルなB&B
ウォーターヴィルのフィッシャーマン・バー
どんな田舎町に来ても、酒はいくらでもあるのがアイルランド
ランチに食べたフィッシュ・チャウダー。
コンフォート・フードという言葉がこれほど当てはまる食事もない
街はカラフル
黄色の家と、手描きの看板Peter's Place Cafe
無防備すぎるカフェ
砂浜ならぬ岩浜
入り組んだ海岸線に降りて行くSkellig Ring
この地に典型的な石を積み上げた低い塀が土地の境界線

「The most spectacular cliff of Kerry」という看板に誘われて崖へ。「最果て」という言葉がまさに当てはまるような荒涼とした大地から、ストンと海に堕ちる手つかずの自然が圧倒的だ。突風に吹っ飛ばされないようおそるおそる崖の上に立つ。落下防止の金網はいかにも貧弱だし、風は強いし、強風に混じって痛いような雨は降って来るしで、もうタイヘン。だけど、地球の終わりのような最果ての土地はやっぱりこうでなくっちゃね。

ナイフで切り取ったような崖。ストンと落ちてます
おそるおそる下を見るとこんな感じ。海も厳しそう
大西洋に面し入り組んだ海岸線の手つかずの自然
崖の上はとってもなだらかな丘なのに....

 海の向こうに見えるのは、Skellig Michaelと 呼ばれる岩の島々。今は無人の孤島だけれど、6世紀の修道僧が修道院を建てここに住んだいたそうで、その遺跡がユネスコの世界遺産に登録されている。半島突端の街Portmageeからこの島に渡るツアーボートが出ているけれど、ちょっと時間が足りないので今回は断念。だけど、この風の中をボートで海を渡るとしたら修行僧並みの修錬というか、ほとんど拷問だ。なんで、そんなところに住もうと思ったのか.... やっぱりアイルランド人はクレージーだ。

沖に見えるふたつの群島がユネスコ世界遺産Skellig Michael
なぜあんなところに修道院をつくったのだろう
Skellig Michaelに渡るツアーの出ているPortmageeの港

アイリッシュ・ブレックファスト

Carrig Country HouseのB&Bで、伝統的なアイリッシュ・ブレックファストをいただく。フレッシュ・ジュースに目玉焼き、ソーセージ、ハム、マッシュルーム・ソテー、焼きトマト、ブラックプディングにホワイトプディング。そしてアイルランドならではのパン、アイリッシュ・ソーダ・ブレッド。会社の同僚のケリーが、セント・パトリックス・デーに毎年作ってくれることで知ったこのアイリッシュ・ソーダ・ブレッドとアイリッシュ・バターが、当然だけどちゃんとここにあって感動! 嚙みしめるほどに味がある、ほどよい塩味が素朴で美味しい。そしてコーヒー。ボリュームのある朝食を湖の見えるダイニングルームでゆっくり食べて.... 至福。

あたたかい料理が並ぶフル・ブレックファースト
アイリッシュ・ソーダ・ブレッド
バッフェテーブルには、シリアルやフルーツ、
ヨーグルトなどの冷たい料理。
手作りジャムやハチミツ、
リッチなアイリッシュバターなどに目移り目移り。
奥に座っているのは、ビンテージ・ジャガーの
フランス人カップル。
窓から見える湖も優雅。寒いけどね

Sunday, April 24, 2016

ベッド・アンド・ブレックファスト

ケリー周遊路の起点キラーニーから程近い、カラー湖の畔にかわいいベッド・アンド・ブレックファストを見つけた。Carrig Country House。100年を越える歴史を持つこのカントリーハウスは、元々は英国人が狩猟のために建てた家だそうで、湖畔にはそんなお屋敷がいくつかあり、アイルランドが英国領だった頃にこの辺りがお金持ちの別荘地だった歴史がうかがえる。今のオーナー、フランクさん夫妻は、おそらくリタイアした後にここを買い取り、旅行者と話しをしたりするのが好きなことが高じて、こんな商売をしているのだと思う。湖に面してよく手入れされた庭がとても気持ちいい。この日の宿泊客はわたしたちの他に、ジャガーのビンテージ・2シーター・スポーツカーで旅するフランス人カップルが一組だけ。夏の観光シーズンにはちょっと早いので少しさみしいけれど、火の入った暖炉が、長くて命がけのドライブの疲れを程よく癒してくれ、リラックスできるいい宿だった。

長いドライブの後、たどりついた英国風カントリーハウス
表通りからお屋敷に続く、花の咲くよく手入れされた私道
夕暮れのカラー湖。静寂
湖に面した庭も気持ちがいい
暖炉に火の入った心地よいリビングルーム

ケリー周遊路

出張を2日ばかり延長し、アイルランドの田舎へ足を運ぶ。レンタカーで訪れたのはダブリンから3時間半、アイルランド南西の入り組んだ海岸線にあるアイベラ半島。風光明媚な170キロに及ぶ半島一周のドライブはRing of Kerryと呼ばれ、アイルランドの観光名所のひとつである。4月のアイルランドはまだ肌寒くて新緑もようやく始まったばかりだけれど、それでも国家色がグリーンなのには充分納得。樹々の緑が本当にみずみずしくて、コレ、夏は素晴らしいだろうなぁ。対向車とすれ違うのがやっとという感じの2車線のワインディング・ロードを、みんなバンバン飛ばす。基本的にアイルランド人がクレージーだということは、今までも良く知っていたし、今度の旅で充分納得もしたのでもうあんまり驚かないけれど、この道路の制限速度が100キロはないだろっ、と、言いたい。

レストエリアがわかりにくいのがちょっと難だけれど、
アイルランドのハイウェイは基本的にはとても走りやすい
ケリー周遊路の起点の街キラーニー。
メインストリートの商店街にかわいいお店が並ぶ
キラーニーの素朴なレストランで
素朴なビーフシチューと....
....素朴なローストビーフを食べました
キラーニーの住宅街。どの家もよく手入れされたきれいな前庭がある
キラーニーから横道へそれて
アイルランドで最初の国立公園キラーニー国立公園へ。
公園内のロス城は、15世紀後期のノルマン建築の城
街を過ぎるとケリー周遊路のメインロードは制限時速100キロになる。
この道を100キロで飛ばす、命知らずのアイルランドの人たち
羊の群れる牧歌的風景が広がっていたり....
....岩のごろごろした荒っぽい海岸が広がっていたりする
太陽と青空と小雨と冷たい風と霧と....
いろんなお天気が代わる代わるにやってくる。
このお天気が豊かでみずみずしい緑をつくるのだ
周遊路沿いには小さな街がいくつもあり、B&Bもたくさん

Saturday, April 23, 2016

The Brazen Head

17世紀創業というダブリン市内で最も古いといわれるパブ The Brazen Head。昔は旅行者や商人が滞在した宿だったそうだが、現在宿泊はできず、パブとレストランだけ。世界でいちばん美味しいギネスが飲みたかったらここに行けと、ローカルが絶賛する店である。歴史を感じさせる店内は大勢の人で賑わい、入り口のゲートをくぐった中庭のパティオも雰囲気のいい寛げる空間。カフェオレ色のクリーミィな泡を乗せた琥珀のビールが、古い煉瓦と石畳みにマッチして、とってもいい感じなのだ。

1198年創業って....
「いい国(1192)つくる、鎌倉幕府」だったっけ!?
想像を超える古さです....
ゲートをくぐって入って行くとステキなパティオ
いい雰囲気の店内も賑わっています。
テレビ中継はサッカー!
パティオもいい雰囲気。
ここではアイリッシュ・ミュージックもやるそう
現在はホテルではないそうだけれど、
ホテルのほうの建物は現在はレストラン
アイルランドのパブには必ずいると言われる
寝てるおじさん
クリーミーな泡と、ちょっぴり苦みのある
澄んだ琥珀色のギネス。旨い!

キルメイナム刑務所

キルメイナム刑務所は、ギネス・ストアハウスと並んで、ダブリンで最も人気のあるツーリスト・アトラクションのひとつだそうで、シカゴにいるアイルランド出身の友人からぜひ行くように言われていた場所。ビール・アミューズメントパークの脳天気なツアーとはうって変わって、ここでは、英国の支配下で搾取され苦しめられ続けたアイルランドの、激動の歴史を感じてちょっとしんみりとする。ここは、独立を目指して武装蜂起し、弾圧された、アイルランドのリーダーたちが収監され処刑された場所。現在はミュージアムとして公開されていて、ガイドツアーは独房や刑務所内に併設されたチャペル、要人が扱われた部屋、処刑場などを順にまわる。ここで教えてもらわなければ知り得なかったアイルランドの悲しい歴史に触れることができた。失敗には終わったものの、国民の独立への機運を高めるきっかけとなったイースター蜂起のリーダーたちがここで処刑されたのは、今からちょうど100年前の1916年。そして、そのリーダーたちが自国の独立を見ることなく命を落としたこの場所は、ダブリンの愛国者たちにとって聖地といってもいいんだそうだ。そんな場所に観光客がカメラを持ってドヤドヤと押し寄せちゃっていいものなのかなぁと思うけれど、セント・パトリックス・デーであれだけ飲んで大騒ぎする人たちの心の源にある、自らが戦って勝ち取った正義への誇りを垣間見たひとときだった。

現在は博物館となっているこの建物は、
映画の撮影にもよく使われるそうで、
そういえばなんとなく見たことがあるような気もする
広い吹き抜けの広場を囲んで、独房が並ぶ
独房内部
イースター蜂起の指導者のひとり
ジョせフ・プランケットの妻の独房。
アーティストだった彼女の残した壁画がある
処刑場の写真を撮るのはさすがに抵抗があり....
これは処刑場の広場を囲む高い壁。
石の重厚な造りが歴史の重さと相まって、言葉を飲み込んだ一瞬