シカゴのダウンタウンの真西、若者に人気のウィッカーパークのすぐ南に広がるユークレイニアン・ヴィレッジ。ここ2年で家賃や不動産価格が2倍に跳ね上がったという、今シカゴでは最もホットなエリアのひとつだそうだ。19世紀末にウクライナからやってきた移民たちが定住し、その後、第2次大戦中に祖国を追われ、ドイツなど西ヨーロッパ各地の難民キャンプに住んだのち1950年頃に米国にきた人々、そしてソビエト連邦崩壊後の経済移民と、祖国の歴史に翻弄されながら増加していったウクライナ人たちが、このほんの数ブロックの小さな区画に大勢まとまって住んだので、Ukrainian Village「ウクライナ村」と呼ばれる。19世紀末のシカゴは鉄鋼など工業の発展に伴い多くの労働力を必要としたので、手工芸に秀で細工物や彫金などが得意だったウクライナの移民たちが、工場が多かった市の西側に労働者として住み着いたのが始まりだそうだ。界隈の教会はもとより、アパートなど多くの建築物に精緻な手仕事が現存し、市の歴史的建造物保存地区にも指定されている。1880年代に建てられたWorker’s Home「労働者の家」と呼ばれるかわいい家並みは、今やミリオン・ダラー(1億円)に及ぶ値段がついていて、小金持ちのヤッピーやヒップスターたちがこぞって狙っているらしい。
それでも街ですれ違う人たちの顔はやっぱり東欧とかロシアっぽい。街角の立ち話からもロシア語っぽい言葉が聞こえてくる。移民の子孫たちは学校では英語で勉強するけれど、教会ではウクライナの言葉や文化を学び、地域の博物館や美術館ではいつもウクライナに関する展覧会が催され、アメリカに同化しながらも独自の文化を守る努力を惜しまない。シカゴにはこのように、ルーツを共有する機会を作ることによって地域の人々の心を繋ぐユニークなエスニック・コミュニティがたくさんあって、そうした多様な文化のモザイクがシカゴという街の大きな魅力になっている。1950~60年代にはジャパンタウンも賑やかだったらしいけれど、その後日本人が減ってしまって継続しなかったことは、本当に残念。
屋根の縁取りや窓枠などの装飾がとても凝っている |
こういうとんがり屋根の一般住宅は 他の地域ではあんまり見られない。 ロシア様式、なのかな? |
装飾の細かさに加えて、色使いもとてもユニーク |
ルイス・サリバン建築、ロシア・スラブ系の Holy Trinity Orthodox Cathedral。 小さなウクライナ村にいくつもある教会のうちで、 この八角形のドームがど〜んと目立つ立派な教会。 伝統的なロシア建築の流れを汲みつつ、 細部にサリバン特有の装飾的要素が見られる。 こういう場所をベースに 地域の人たちが独自の文化を守っているわけだ |
1880年代から残るWorker's House。 2階建てのかわいい家が連なっている。 どの家もきれいに手入れされて、古くても住みやすそう |
売りに出ている家があったので、値段を調べてみました。 3,300sqft、5ベッドルームで、$699,900。 いかがですか |
大通りに出てみるとユニークなストリートアートも |
こっちはモノクロ |
なんだかとても古そうなレインボー・クラブ。 レインボーのスペルが「RAINBO」 |
ウクライナの国旗を掲げている家も。さすが! |
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