Saturday, February 8, 2014

1893年の万博

フィールド・ミュージアムはシカゴを代表するワールドクラスの博物館。その博物館創立の礎となったのが120年前のワールドフェア(万博)である。フィールド・ミュージアムでは今、「Opening the Vaults: Wonders of the 1893 World's Fair」と称して、世界で初めて「観覧車」というアトラクションが登場した万博の、当時の様子を垣間見る特別展が開催されている。万博時に世界中から集められ、閉会以来ずっと倉庫に眠っていた数多くの展示物が120年の時を経て再び陳列され、現在の視点を交えて構成されたエキジビット。海外旅行など一般の人々にはとても手の届かないレジャーだった当時、世界各国から集められた摩訶不思議なモノたちを見物に、信じられないくらいたくさんの人々がシカゴに集まったそうである。世界各国から集められたのはモノばかりではなく、そこに暮らす人々も連れて来られ、西洋人以外のエキゾチックで「発達の遅れた」人種が見世物としてモノ同様の扱いを受けたことなど、当時と今日の人種に対する視点の違いなども興味深い。120年前にあれやこれやと想像を働かせて調査したペルーのミイラも、誰がどんな状態で葬られたかなど今ではCTスキャンで詳細に解析できてしまうわけで、当時この技術があったら見せ方はどんな風に違っていたのだろうと思うと、これもまた面白い。特別展として大々的に宣伝しているわりには規模が小さくてちょっと物足りなさも感じたけれど、ひょっとすると120年前は、こういうのを「大規模」と呼んだのかもしれない。さて、今から120年後に、現在のワタシたちの社会や世界に共通する価値観は、どういう風に伝えられどういう風に見られるのだろう。今生きている人は誰もそれを知ることはできないのだから、残念と言えば残念なのだ。

特別展入り口
120年前のライオンの剥製。
120年前に本物のライオンを見たことのある人は
どのくらいいたのだろう
現在博物館の中央吹き抜けホールに鎮座する壮大なトーテムポールが
運ばれた当初の展示風景。

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