Monday, April 22, 2013

上野千鶴子さん

シカゴ大学の東アジア研究所に、社会学者であり日本のフェミニズムの第一人者である上野千鶴子さんが講演に来た。ワタシが仕事を始めた頃の80年代の日本は、男女雇用機会均等法が施行され、「キャリアウーマン」という言葉が、現実とは裏腹に憧れを持ってもてはややされた時代である。そんな時代に「スカートの下の劇場」という過激な本を書き、アグネス論争に油を注いだこの学者さんの名前を久しぶりに耳にして、なかなか日本では会えない人もシカゴでなら意外に簡単に会えるのだという機会に便乗、レクチャーを聴かせていただいた。おなじみのフェミニズムのテーマに加えて、最近では老齢者の介護問題などにも分野を広げ、それを3.11に絡めるなど、興味深い内容ではあったけれど、やっぱり日本の学者さんのレクチャーは日本語で聴きたかった、というのが正直な感想。上野さん特有の辛口トークも、英語になるとイマイチその辛口さが欠けてしまい、せっかくの強烈なパーソナリティも勢いを潜めてしまうのがちょっと残念だった。でも、日本にいたらこんなに近くで会えない人だし、レクチャーの後のレセプションでは個人的にお話をするチャンスまでいただいて、なかなかの印象的な時間ではあった。

しかし、それにしても英語で話すというのは難しいことだと改めて思う。内容が正しく伝わっていればいいのだとか、文法が間違っていなければそれでオッケーとかいうシンプルな解釈では片付かない、深い深い問題であると思う。世界の中でアカデミアの公用語が英語であるというのは、ネイティブではない日本人にとっては全くもって不公平な話。でも現実にそうなのだから仕方ないんだな。このハンデ、どう克服できるのか、あっと驚く解決法を、次の世代の人たちにぜひぜひ見つけてもらいたいと思うのだ。

No comments:

Post a Comment