Wednesday, February 17, 2016

「Brooklyn」

映画「Brooklyn」を観た。1950年代、まともな仕事もなく貧しくて退屈なアイルランドの田舎から新天地を求めてニューヨーク・ブルックリンに移住する若い女性の成長物語。故郷と新天地の間で揺れ動く心や、大切な人の死に立ち会うことのできないやるせない距離、故郷に残した母親との関係を巡る葛藤などを、静かていねいに描く。主人公のエリッシュを演じる女優さんも素晴らしい。時代は違っても共感することばかりで、特にワタクシのように海外で生活する者には、ぐいぐいと心に刺さるものがある。海外に長く暮らしていると、時としてアイデンティティ・クライシスに落ち込むものだけれど、人のアイデンティティって、日本人だとかアメリカ人だとかそういうことではなく、人生のふとした巡り合わせで出会う人々や経験によって出来ていくものなのだなぁと改めて思う。そしてそんな思いに勇気をもらった作品だった。

50年代のファッションやインテリア、アイルランドの街並みの色使いなど、アートディレクションもとてもいい。19世紀後半から20世紀のニューヨークを支えた2大移民、アイルランド系とイタリア系がブルックリンで出会うという設定も人気の秘密かな。ところでこの主役を演じたシーシャ・ローナン、「The Grand Budapest Hotel」でベルボーイのガールフレンドをかわいくコミカルに演じたあの女優さんだったのね。今回は全然タイプの違う役だけれど、とても上手でとてもきれい。そして本人自身もアイルランド出身なんだそう。主演女優賞が取れるといいなぁ。

2月になると、アカデミー賞授賞式中継の3〜4時間をなるべく退屈しないで観られるように、急に映画を観まくるワタクシ。さて、次は何を観ましょうか…



No comments:

Post a Comment