「町家」とは、江戸期から終戦前までに建築された町なかにある家のことで、「町屋」と書くこともあるのは、物販や飲食業、手工業を営む職住併用の住宅であった名残りだという話。京都の町家は「京町家」といわれ、その姿を数多くとどめるのは、平安時代から様々な業種の職人たちが、宮家や武家たちの庇護を受けながら繁栄し、彼らが住まいを構えた京都が戦災から免れたことによる。そんな町家を改造して素泊まりの宿としている宿泊施設が、今、京都にはたくさんある。これらの古い町家は現在の法律で定められた旅館としての基準をクリアしていないので、旅館営業ではなく、期間を定めた賃貸契約というシステムをとる。というわけで、1泊の契約を結んで今回宿泊したのは、石不動之町の小さな路地を入った先にある二軒長屋のひとつ。かわいいふたり客用の小さい町家だ。住宅街の中なので住民の生活音がありますよと言われたけれど、そんなことも含めて、暮らすような気分でステイする京都なのだ。
引き戸の玄関を入ると広い土間があり、土間を上がるとココヤシのカーペットを敷いた板の間のリビング。リビングに面して小さい庭があり、縁側もある。吹き抜けのてっぺんに高窓のある台所は、火を使った料理はできないものの電子レンジとお茶やコーヒーを淹れる道具も揃い、明るく広くて使いやすい。トイレとお風呂は現代風に改装されて、快適な檜の浴槽からは庭の緑も目に映る。寝室は2階。昔ながらの急な階段は注意深く上り下りしないとちょっとコワいけれど、そんなところも風情があったりする。インターネットはあるけれど、テレビもラジオもないから、夜は寝るだけ。たくさん食べて帰って来たらすぐに寝た。すごくよく寝た。
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外観だけでは、宿初施設とは全くわからない。
格子の引き戸が風情ある普通のおウチな感じの町家 |
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三和土が横に広い、照明を落とした玄関内部 |
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古風なようでいてとってもモダンな生け花の飾られた板間のリビング。
障子の向こうにかわいい坪庭がある |
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ちょっとコワい急な階段 |
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2階の踊り場には昭和レトロな感じの家具 |
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吹き抜けのキッチンを見下ろしたところ。
元は土間だったと思われる |
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2階の寝室。こんなミニマルに暮らしてみたい |
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間取り |
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