Monday, October 19, 2015

メノナイト

北米の多くの田舎町同様、アルトナも言わずとしれた白人ばかりの街。聞くところによるとアルトナは、「メノナイト」と呼ばれる特殊なキリスト教宗派の人が多く暮らす地域なんだそう。教会の権威を否定したがために迫害を受け、北米大陸に新天地を求めて移住してきたという歴史を持つ。アーミッシュやクエーカーと同様、田舎町にコミュニティを持ち、厳しい規律の中で自給自足しながら信仰と共に質素に暮らしている。もちろん現代社会に参加しようと思えば、移動は馬車のみ、電気も使用しないという19世紀そのままの生活はほとんど不可能で、ここアルトナでワタクシが出会う人たちは、普通の服を着て普通に車で会社に来るし、電気を使わなかったら仕事にもならない。でも、時々見かける立派な顎髭をたたえてサスペンダーをしている男性や、頭にボネットをかぶった女性たち、ちょっと会話が進むと必ず出て来る「Church」という言葉や、お休みの日は何をしているの?と聞くと、教会の仕事が忙しいという答え。現代文明と折りあいをつけながら、その人なりのやり方で独自のライフスタイルを守り続けている様子がうかがえる。

そしてワタシ自身は体験していないけれど、メノナイト料理というのがとても美味しいらしい。パン、キャベツの煮込み、マッシュポテト、ソーセージ、カップケーキや、メノナイト伝統のスープやスタフィング。昔ながらのオーガニック農法の農作物を使った素朴で優しい料理が想像できる。日曜日の夕方、建物のまわりに車や馬車がたくさん停まっているのを見かけたら、そこで地域のメノナイト・ディナーがふるまわれているってことなんだそう。

「あなたはメノナイト?」とある人に聞いたら、「宗教的に? それとも文化的に?」と聞き返された。宗教的には違うけれど、文化的にはメノナイトなんだって。「だって食事が美味しいから」とウィンクした。メノナイトが決して閉ざされたコミュニティではないということを裏付けるひと言。広大な国土の各地に数多の民族や文化的ルーツを持つ人が共存して暮らすカナダの、これもまたひとつの大きさの表れなのだ。


↑ 端から端まで歩いても20分とかからず、信号がひとつもない街に、メノナイト教会がいくつもある。教会では基本はドイツ語で、移住から何世代を経ても祖国の言葉を守り、受け継いでいるのだそう。

ボネットをかぶった女性。隠し撮り、ごめんなさい

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