Saturday, October 27, 2012

9/11メモリアル

あの大惨事から10年の歳月をかけ、昨年の9/11にオープンしたワールド・トレード・センター跡地にできたメモリアル・パークへ。世界を代表する建築家たちのコンペを経て実現したこの公園は、植樹されたばかりの整然とした街路樹とまだ建設中のビジターセンター、そしてツインタワーが建っていた敷地には、実際のビルと同じ面積のとてつもなく大きな滝の慰霊碑が2つ。厳重なセキュリティを通って入場するまでの長い行列では騒がしくおしゃべりしている観光客も、ここまで来るとさすがに神妙に押し黙るので、公園内の空気は滝の水音だけになる。滝の周囲にはあの日に亡くなった3000を超える人々の名前が。名簿は脇のコンピューターで検索できるので、どこに誰の名前が刻まれているかピンポイントで見つけることもできる。WTCには日本の大きな会社もいくつか入っていたんだよね。日本人の名前もたくさん。セキュリティ上の理由から、花やギフトなどのお供えは禁止されているそうだけれど、それでもいくつかちらほらと花が添えてある。そして敷地内に分散して警備しているものすごい数の警察官も、それらのお供え物を取り除こうとはしないのだ。そりゃそうだよね、できないよ。たくさんの人の無念の思いに胸が締め付けられて言葉が出ない。

余談だけれど、職業柄こういうモニュメントを見ると、ひとりでも名前が抜けてたらとか、スペルが間違っていたらとか、そうして見つかった間違いを直す行程とか、制作側のプロセスのあまりの大変さが見えてしまって気が遠くなる。11年前にここで命を落としたたくさんの人たちの冥福を祈るとともに、この悲劇を忘れないために、すべての意見に耳を傾けすべてのディテールに気を配って、企画から制作に関わった多くの有名無名のプロフェッショナルひとりひとりにも、その努力と忍耐に賞賛を贈りたい。

建物があったその場所にその大きさで作った
四方から滝の落ちる大きな池の慰霊碑
日本人も含むたくさんの名前に言葉を失くす
この人にはどんな人生があったのだろう。涙を誘う星条旗と花

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