Thursday, December 24, 2015

サン・ジェルマン・デ・プレとサン・シュルピス

左岸最大の商業地域サン・ジェルマン・デ・プレ。その中心にある交差点には、「マゴ」「フロール」「リップ」といったベルエポック時代からのカフェが当時のままの姿で残り、かつてここでサルトルやヴォーヴォワールが議論を交わしていたという姿なんかをちょっと想像してみたりする。そして同じ交差点に静かに佇む教会が、サン・ジェルマン・デ・プレ教会。とんがり屋根のかわいい鐘楼はパリ最古の11世紀ものだそう。数あるヨーロッパの荘厳な教会と比べると比較的こじんまりした内部は、観光客で賑わう商業地の喧噪からはうって変わって、ほどよい薄暗さがホッと落ち着く空間。時代を感じさせる美しさと静けさが、とても魅力的な教会だ。

パリ左岸の一大商業地区の目印的な存在。
パリ最古の鐘楼はサン・ジェルマン・デ・プレ教会
パリといえば、言わず都知れたカフェ・デュ・マゴ。
サルトルやボードレールも通ったという
サン・ジェルマン・デ・プレの歴史あるカフェ
表の喧噪からは想像もつかない
ひっそりとした教会内部
絵のように美しいパイプオルガン
教会の外では、クリスマスの飾り付けを売る人たち。
ステキなパリのクリスマス・1シーン


サン・ジェルマン・デ・プレ界隈にあるもうひとつのカトリック教会がサン・シュルピス。サン・ジェルマン・デ・プレ教会に比べると圧倒的に規模の大きいこの教会の、パイプオルガンは世界最大級だそうで、フランス革命行以降未完成のままという左右非対称の塔や、ドラクロワの壁画やグノモンの日時計など、見どころの多い教会である。

そしてこの教会を見逃せないもうひとつの理由が「ダ・ヴィンチ・コード」 2003年に出版されたダン・ブラウン作のキリスト教にまつわる壮大なミステリーは、トム・ハンクス主演で映画化もされた。今回パリに来るにあたって映画をもう1回観て予習してきた作品の中では、夏至と冬至の正午に、この教会内で対面するステンドグラスから差し込む光が床のタイルに作るラインを「ローズ・ライン」と呼び、その先にあるオベリスクの足元に秘密を解く鍵「キー・ストーン」が隠されていることになっている。劇中で「ローズ・ライン」と呼ばれるこの日時計は、史実上そう呼ばれたことは一度もないそうで、またこの場所にもキリスト教異教徒の隠された秘密などは何もなく、物語の内容はあくまでフィクション。それでもこうして静かな教会で意味ありげな多くの調度品に囲まれると、どこかミステリアスな空気を感じずにはいられない。本、映画とも一世を風靡しただけに、ぜひぜひ訪れたい教会なのだ。


ちょっと繊細さに欠ける気がする右側が未完成の塔

ミステリアスな日時計は、夏至と冬至の正午に、
ステンドグラスに開いた穴から差し込む光が
正面のオベリスクと床に真鍮で描かれた線を照らす。
この線を「ダビンチコード」劇中で
「ローズライン」と呼んでいる
世界最大級だというパイプオルガン。
個人的には、サン・ジェルマン・デ・プレ教会の
パイプオルガンのほうが、綺麗な気がします

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