Saturday, July 13, 2013

インカ・トレイル・Day 3

2泊目、標高3600メートルのキャンプ地の夜は寒かった。フリースを着たまま寝袋にもぐったけれど、寒さで夜中に何度か目が覚めた。それでも死んだように眠った昼寝が効いたのかそれほどの疲れは感じずに、トレイル3日目の朝、キャンプ地の目の前にそびえるもうひとつのピーク、標高3800メートルのRunkurakayを目指して出発した。前日の標高差1200メートルをやっつけた経験から、今日の200メートル差なんてちょろいちょろい、とは言わないけれど、それでもゆっくり一歩一歩進んで行けばいつかは着くよと、キモチは随分ラクだった。

標高3600メートルの夜明けは寒かった!
朝日を浴びて....
....さあ、今日も登るよ〜!
インカ・トレイル2つ目の峰に到着、3800メートル!

Runkurakay頂上の、祈りの儀式の場所だったとされる円形のインカの遺跡で、エドウィンにコカの葉の儀式を教えてもらい、遥か昔に同じようにここを通ったインカの人々に改めて想いを馳せ、四方にそびえるアンデスの4つの峰々に敬意を払う。

山頂の円形の遺跡は儀式の遺跡
コカの葉の儀式。3枚の葉はインカの言葉でPachamamaと呼ばれる
母なる大地を構成する3つの要素「天空、地表、地下」の象徴
祈りを込めた3枚の葉を、四方の峰々にかざし
ふっと息を吹きかける
息を吹きかけた3枚の葉は、
こうして山に向かってお供えする

このあとは、このインカ・トレイルで最も美しいとされるCloud Forestと呼ばれるゆるやかな下りに入る。ランチを取る予定のキャンプ場まで約2時間半、まるで天空の回廊のような石段の道を上ったり下ったりを繰り返しながら進む。残念なことに下界がすっぽり霧に包まれてしまいなんにも見えなかったのだけれど、見えないだけに、より雲の上を歩いているような幻想的な雰囲気に包まれて、自分が生きているのかどうかがちょっと心配になっちゃった。でもキモチはふわふわでも、足にはキビしさがしっかり来てたから、大丈夫、ちゃんと生きてた。もし下界が見えてたら、逆に足がすくんで歩けなかったかも。それくらいの断崖絶壁を歩いていたらしい。それにしても500年以上も前にこんな場所にどこからどのように石を運び、どうやってこんな道を作ったのだろう。

石畳を上ったり下ったりを繰り返しながら進んで行くと....
....そしてまた遺跡。インカの旅人の休憩所となる宿場町が
いたるところにあったのだろう

天空の回廊の先には天空の基地のようなキャンプ場があり、そこでランチ・ブレイク。ランチの後は、最後の夜のキャンプ地、Forever Youngという意味の(いい名前だ!)Winay Waynaまで一気に1000メートル下る。またもや屈強な石の階段の連続。なんとその数1500段だそう! 雲を抜けて下界が見えてくると、谷底のウルバンバ川まで見渡せる。本当に断崖絶壁、山肌に張り付くように作られた細い石段のトレイルを、インカの人々は皇帝をかついでマチュピチュに向かったというから、たいしたものだというか、たまげたものである。

まるで天空の基地のようなキャンプ場に到着。ここでランチ・ブレイク
霧のかかる幻想的な風景の中にはリャマの姿も
岩の切れ目を利用したトンネル。
インカの人はこんな道まで造っている
下が見えたら足がすくんでいただろう。
山肌に張り付くような断崖の回廊

この下り坂の途中辺りから、周辺の植物が竹や蘭、垂れ下がるシダや苔など熱帯雨林系に変わってくる。アマゾンのジャングルの入り口に続く地点に位置するマチュピチュの兆し。暑くはないけれど、森の程よい湿気が身体に心地いい。トレッキングを始める前に、このインカ・トレイルでは春夏秋冬のすべての季節が体験できるよと言われたけれど、本当にその通り。気温も湿度も霧も雲も陽射しの強弱も、全部体感したように思う。

熱帯っぽい花々が見られるようになり....
風景もちょっとジャングルっぽくなってくる
空気もちょっと湿って、苔も見える

最後のキャンプ地、標高2700メートルのWinay Waynaに到着したのは夕方5時半くらい。この日は結局8時間から9時間近くも歩いたことになる。ここまでですっかり仲良くなった仲間たちとの最後の晩餐は盛り上がったけれど、翌日は3時半起きである。おしゃべりはほどほどにして、みんなおとなしくそれぞれのテントに戻って床についた。前夜に比べると標高は1000メートル低く、気温も比較的穏やかで眠りやすい夜だったせいか、右から左から様々な音色のイビキが。ワタシにとっては別の意味で寝苦しい夜だった。

雲の下まで降りて来ると、
今日の終点Winay Waynaキャンプ地手前に、大がかりな段々畑の遺跡
農家の倉庫跡も残っている。
はるか谷底にはウルバンバ川
見晴らしのいい段々畑のテラスでグループ・ショット
段々畑の上り降りもけっこう大変。
インカの人は強かったんだなぁ。
眼下には今夜のキャンプ地も見える

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