Friday, July 19, 2013

ウロス島

確か「世界ウルルン滞在記」で見たことがある。トトラと呼ばれる葦を重ねて作った人口の浮島が集まった部落、ウロス島。プーノから1時間くらい、やっぱりスピードボートとは名ばかりの船で訪ねることができる。トトラで出来た島には、やはりトトラで出来た学校や病院など島民向けの施設のほか、レストランや商店、宿泊施設など観光客向けの施設まで一通り揃っている。島民は昔ながらの漁業を中心に暮らしているという話しだけれど、しかし、島は完全に観光客向けのアミューズメント・パークと化している。スピードボートが近づいていくと、管制の役割を果たしているような船から、60〜70ほど浮いている各島の中のどの浮島を訪れるかの指令が出て、指定された島ではカラフルな民族衣装に身を包んだ女性たちが手を振ってお出迎え。上陸すると、まずは座んなさいよとトトラでできたベンチに座らされ、島の頭領のような人がミニチュアを使ってウロス島の成り立ちと、トトラの島の構造やどうやってトトラで家を作るのかなどのレクチャーをしてくれる。レクチャーのあとには、おうち訪問。トトラで出来た家の中にはベッドがありテレビもある。きっとインターネットもあるんだろうな。そして、民族衣装を着せてやるから写真を撮れという。そのあとはお決まりのお土産買え買え攻撃。希望者は「メルセデス・ベンツ」と呼ばれているトトラの船に乗って、女性たちの歌に送られながら島の周りを1周するツアーに連れて行ってもらっていたけれど、この時点でワタシは完全に興ざめしてしまい、ツアーはパスして、ピースフルな浮島の群れをぼーっと眺めていた。よく見ればどの島でも同じようにミニチュアを使った観光客向けのレクチャーが行われ、「メルセデス・ベンツ」を送り出す歌があちこちから聞こえてくる。きっとこの島の観光価値に目をつけた行政か業者が、観光用のプログラムを開発して島民に一斉に研修を行い、島をこのようにマニュアル化されたアミューズメント・パークにしてしまったのだろう。トトラを束ねたり、おみやげものを作ったりしながら、一日に何回あるかわからない観光客の訪問を待って毎日を暮らしている人たち。それはそれで幸せなのかもしれないけれど、狭い草の島の中で無邪気にはしゃぐ民族衣装を着た子どもたちを見て、人は生まれるところを選べないのだなぁと、ここでもまた感じてしまったのだった。

スピードボートで近づいていくウロスの部落
ひとつひとつの浮島は
サッカーのコートひとつもないくらい小さなもので、
島間の移動はボート
島によってはゲートや見晴台などがとてもアーティスティック
手を振って迎えてくれる島のおばさん
ミニチュアを使ったレクチャー
トトラで出来た家。この中にベッドや液晶テレビが。
すっかり見慣れたお土産屋さんの風景
メルセデス・ベンツ
とってもピースフルな風景だ

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