Thursday, July 18, 2013

チチカカ湖とタキーレ島

翌朝はチチカカ湖に昇る朝日で目を覚ました。静かな水面にかかる厚い雲の切れ間を射すように抜ける強い朝日。空気が冷たく澄んでいるのが部屋の中からでもわかる。いい天気になりそうな予感。

チチカカ湖の夜明け

ホテルのハーバーから、スピードボートとは名ばかりの古〜いボートで約1時間、かなりちゃぷちゃぷな波に揺られてほとんど船酔い状態になりながら、タキーレ島に着いた。なんにもない素朴な島は、ケチュア族というインカ以前からの民族の末裔が、少数ながら今も昔ながらの伝統を守って生きている島。島民は農業と漁業、そして手作りの織物を生産して暮らしている。島の自然とその生活様式を守るために、島全体がユネスコの無形文化財に指定されているのだ。島はまるで天国かと思うくらいに本当に美しい。空気が薄く澄んでいるからか、何もかもが色鮮やかに見える。島の頂上の広場では、島民が薬草を利用した石けんの作り方や、織物の作り方のデモンストレーションしてくれる。女の人たちはあまり外の人と話をしてはいけないのだそうで、話かけてもシャイな微笑みをちらっと見せるだけ。貧しい島の人たちは常にサポートを必要としているわけだけれど、お金はあげないで欲しいと言われる。お金は島民を怠け者にしてしまうから。代わりに彼らの作る織物を買って欲しい。そして値切らないでね、ということだ。なるほど。何かひとつ買ってあげようと、地面に並べられた数々の素晴らしいテキスタイル製品の中から、迷って迷って迷ったあげくに、きれいなサッシュベルトをひとつ選ぶ。70ソレス。そして100ソレスの紙幣を渡したら女性はお釣りの計算が出来なかった。スペイン語でお釣りの額を教えてあげても、いまひとつ納得がいかないようで、指を使って一生懸命考えている。無形文化財に指定された手つかずの自然あふれる美しい島で、素晴らしい伝統芸術の織物を作ってシンプルに暮らしている島民たち。でも計算が出来ない。たぶん文字も読めないのだろう。ここで生まれ、一度も島を出ることなく一生を終える人もいるんだろうな。それはそれで幸せなのかもしれないけれど、人は生まれるところを選べないのだなぁと、つくづく感じてしまったタキーレ島だった。

タキーレ島の船着き場
船着き場からトレイルを上がって行くと....
島の頂上
頂上から少し下ったところに広場がある
自然のシャンプー作りのデモンストレーション
糸を紡いで織物を作る女性だち
美しい伝統工芸の並べられた広場
島ののどかな農家の風景
羊が群れる牧草地
高台から眺める段々畑と静かな湖

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